赤ちゃんの頭の形外来
目次
赤ちゃんの頭の形が気になれば早めに相談しましょう
「後頭部が平らに見える」、「いつも同じ方向を向いて寝ている」、「左右で耳やおでこの位置が違う気がする」――このような赤ちゃんの頭の形について、ご相談いただく外来です。
赤ちゃんの頭の形は、早めに評価することで「経過をみてよいケース」と「治療を検討したほうがよいケース」に分けられます。
当院では、お子さまの発育・首の動き・頭の形を総合的に確認し、ご家族と一緒に最適な方法を考えます。
なぜ赤ちゃんの頭の形に対する関心が世界中で広まり、治療が行われる様になったのか
赤ちゃんの頭の形への治療が広がった背景には、「あおむけ寝」の推奨があります。乳幼児突然死症候群を防ぐため、世界的にあおむけ寝が勧められるようになり、うつ伏せで亡くなる赤ちゃんの数を減らすことに成功しました。
その一方で、後頭部が平らになったり、左右差が出たりする赤ちゃんが増えました。赤ちゃんの頭の骨は、脳の成長に合わせて大きくなれるよう、まだやわらかい状態です。そのため、同じ場所に長時間力がかかると形に偏りが出ることがあります。多くは、向き癖、あおむけで寝る時間、子宮内や出産時の圧迫などによる「位置的頭蓋変形」と呼ばれるもので、病気ではない外力が原因です。
この成長する力を利用し、頭の形を整える方法として、
- 向き癖への対応
- 理学療法
- ヘルメット治療 などが発展してきました。
欧米では、まず体位の工夫や首の治療を行い、それでも中等度以上のゆがみが残る場合にヘルメット治療を検討します。
日本でも、3D撮影で頭の形を客観的に測定し、必要なお子さまには成長の活発な時期にヘルメット治療を行う医療機関が増えています。
大切なのは、あわてて治療を決めることではありません。お子さまの頭の形と成長を早めに確認し、ご家族が納得できる選択をすることです。
頭の変形について

斜頭症
上から見ると左右非対称に見える状態

短頭症
後頭部全体が平らな状態

長頭症
頭が前後方向に長く見える状態
頭の変形には、主に次のような形があります。
- 斜頭症:後頭部の片側が平らで、上から見ると左右非対称に見える状態
- 短頭症(絶壁頭):後頭部全体が平らで、頭の前後の長さが短く見える状態
- 長頭症:頭の横幅に比べて前後方向に長く見える状態
位置的頭蓋変形が脳の発達に直接大きな影響を及ぼすことは一般に少ないと考えられています。
一方で、強い変形が残ると、顔や耳の左右差、将来的に眼鏡のかけにくさなどにつながる可能性も指摘されています。
また、まれに頭蓋骨の病気(頭蓋骨縫合早期癒合症など)が隠れていることがあるため、「寝癖だろう」と自己判断せず、一度診察を受けることが大切です。
ベビーバンド(ヘルメット)による治療
当院では、ヘルメット治療が適切と判断され、ご家族が希望された場合に、Berry社の頭蓋形状矯正ヘルメット「ベビーバンド」を用います。
ヘルメット治療は、頭を強く押して形を変える治療ではありません。赤ちゃん自身の頭の成長する力を利用し、平らになっている部分には成長するための空間を確保し、出っ張っている部分の成長を待つように設計されたヘルメットを装着します。
頭の形に合わせて3D計測データから一人ひとり専用に作製します。
ベビーバンドは、通気性に配慮した設計で、ヘルメット本体やクッションを洗って清潔に保ちやすいことが特徴です。専用アプリを使い、装着時間や治療経過を記録・確認しながら、医療機関とご家族で治療を進めます。
治療開始は、生後3〜6か月頃が一般的な目安です。特に生後3〜4か月頃は頭の成長が活発で、治療効果を得やすい時期とされています。月齢やゆがみの程度によっては、経過観察や家庭でのケアを選ぶこともあります。
ベビーバンドについて更に詳しく知りたい方はBerry社のウエブサイトをご覧ください。
治療効果について
これまでの研究結果から治療期間約4ヶ月で頭の変形程度は、中等症の乳児の場合は正常まで、重症と超重症の乳児の場合は正常〜軽症まで改善しているとされています。また、効果は治療した医師によらず得られています。
どの重症度の乳児も基本的に正常〜軽症まで改善します
違う医師が治療を行なっても効果は大きく変わりません。
J Clin Med 2022; 11(7):1797より改変
初診から卒業までの流れ
① 初回診察
- 頭の形、向き癖、首の動き、発育・発達を確認します。
- 必要に応じて画像検査などを行い、頭蓋骨の病気や首の筋肉の緊張による斜頸などがないかを評価します。
- 病的な変形が疑われる場合は、脳神経外科などの専門医療機関をご紹介します。
② 3D撮影・形の評価
- 非接触の3Dスキャナーで頭の形を立体的に測定します。痛みや放射線被ばくはありません。見た目だけでは分かりにくい左右差や平らさを数値化し、変形の程度を客観的に評価します。
③ 頭の変形の重症度と適切な治療の説明
- 結果をもとに、経過観察、体位・向き癖のケア、タミータイム、ヘルメット治療などの選択肢を説明します。
- ヘルメット治療を希望される場合、治療の必要性、期待できる変化、装着中の注意点をご理解いただき、同意をいただいた上で開始します。
なお、治療開始前に頭蓋骨縫合早期癒合症を除外するためすべての方に頭の超音波検査を行います。
④ ベビーバンド(ヘルメット)作製・治療開始
- 3Dデータをもとにベビーバンドをオーダーメイドで作製します。完成後、外来で装着状態を確認し、お手入れ、皮膚の観察、日常生活での注意点をご説明します。
⑤ 定期受診・卒業
- 原則として入浴・お手入れの時間を除き、1日23時間を目安に装着します。
- 月1回程度の受診で、頭の成長、皮膚の状態、ヘルメットの適合を確認します。
- 治療期間は通常2〜6か月程度で、お子さまの月齢、変形の程度、成長速度により異なります。十分な改善が得られ、成長に合わせた治療が完了した時点で卒業となります。
ヘルメット及び内側の緩衝材は水洗いできます
注意点・よくある質問
★ ヘルメット治療に副作用はありますか?
最も多いのは、汗や摩擦、圧迫による赤み、あせも、かぶれ、ただれなどの皮膚トラブルです。装着中は毎日皮膚を観察してください。赤みが30分程度たっても消えない、水ぶくれ・皮膚のむけ・出血がある、強く嫌がるなどの場合は、装着を中止して当院へご連絡ください。必要に応じてヘルメットを調整し、皮膚の治療を行います。
★ 頭のゆがみは自然に治りますか?
軽いゆがみは、首がすわる、寝返りをするなど活動性が高まるにつれて目立ちにくくなることがあります。一方、中等症以上のゆがみは自然経過だけでは十分に改善しにくいことがあります。迷われたら、治療を決めるためだけでなく、現状を正確に知るために早めにご相談ください。
★ ヘルメットは発達や脳の成長に影響しますか?
適切に診断・作製・調整されたヘルメット治療は、脳を圧迫して頭の成長を止めるものではありません。赤ちゃんの頭の成長を利用して形を整える治療です。診察と定期的なフォローのもとで、安全に進めることが大切です。
★ 何か月から相談すればよいですか?
「気になる」と感じた時点でご相談いただけます。特に、生後2〜4か月頃は、家庭でのケアを始めたり、必要に応じてヘルメット治療を検討したりしやすい時期です。月齢が進んでいても評価できることはありますので、「もう遅いかもしれない」と迷わずご相談ください。
★ ヘルメットをきょうだいや他の赤ちゃんに使えますか?
使用できません。ベビーバンドは、その赤ちゃんの頭の形、成長速度、治療計画に合わせて作製される管理医療機器です。他のお子さまへの譲渡、貸与、転売は大変危険であり、絶対に行わないでください。
診察・治療の費用(税込)
- 初回診察、病気の有無の確認は保険診療で行います。
- 3D撮影は無料です。どなたでも受けられます。
- ベビーバンド(ヘルメット)治療費用:330,000円。3D撮影、治療開始後の診察、ヘルメット作成など一連の治療費がすべて含まれます。通常はこの料金で最初から最後までのすべての費用がカバーされます。
*ヘルメットを壊したり、紛失した場合(データ作成を伴わない場合)、再作成料金は176,000円です。また、サイズアップを希望される場合(データ作成を伴う場合)、再作成料金は220,000円です。なお、通常サイズアップは不要です。
予約について
電話 0954-27-7807 またはデジスマ予約システムから検査のご予約をします。
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